出産記録(手術以降)

月曜朝の、おそらく7時半ちょっと前くらい。手術室までの移動は車椅子で。旦那に別れを告げて手術室へ入る。ドラマで見るような全体的に薄みどり色の部屋。手術前に高速で手術の説明があって、そのときに写真付きだったからなにもかも「さっき見せてもらったやつ」という感じでもあった。
帝王切開は、赤ちゃんの安全性を高めるために基本は下半身麻酔で意識ありの状態で行われる。手術室には音楽が流れていて少しリラックスできるように配慮があった。麻酔は2種類打つんだけど、その間リラックス担当?のおそらく麻酔科の男の先生が、そのときかかってた島唄について「THE BOOMって知ってる?」「あぁ、知ってます」「え、ほんとう?」「私、昭和生まれなんでー」「でも昭和もだいぶん後半でしょうー羨ましいなー。最近の研修医なんてね、平成生まれですよ!」「ですよねー」とかどうでも良い会話で気を紛らわしてくれた。
麻酔を打たれること自体はさほど痛くなかった。それより昨晩のLDRにて2回も点滴に失敗され、3回目も結局うまくいってなくて後から腫れて、っていうそっちのほうが痛かったくらい。ただ、麻酔が徐々に効いていき、下半身の感覚がなくなっていく感覚は非常に気持ち悪く…完全にかかったときも、MAXで足が痺れているような感じで触られてもあんまりわかんない、痛くはないけどでもたぶん触られてる!って感じだった。そして酸素マスク…これも最初なんだか気持ち悪かった。麻酔科の先生は「気持ち悪いよね、でも赤ちゃんに酸素送るために必要だから!」と声かけしてくれて。「吐きそうになったらどうしたら良いですか」と聞くと「それは吐くしかないね」と当たり前の回答をくれた。『これはご飯食べたすぐ後だったら絶対どこかのタイミングでリバース確実だわ…』と思う。だけど人間って慣れるもので、我慢できん!と思ってた気持ち悪さもちょっとだけ受け入れられる気持ちになってきた。なんせ赤ちゃんを取り出してもらわないといけない!
麻酔が効いてきて、完全に効いたところでお腹を切られた。ここまででたぶん30分くらい。帝王切開の切り方は縦か横か2パターンあって、横のほうが見た目の回復がしやすいらしいけど、縦のほうが赤ちゃんを取り出しやすいらしく、今回はビッグベビーが予想されるため選択肢はなくて縦切りだった。お腹を切ったあと、身体をぐいぐい揺すられて何かと思ったら「いま赤ちゃんを取り出すために体勢を変えています」とのこと。切ればさっと取り出せるというものでもないらしかった。しばらくぐいぐいされた後に、赤ちゃんが取り出され「8時6分!」と聞こえる。そのあとしばらく泣き声が聞こえないので心配になるも「おぎゃー」と聞こえてきて一安心。手術室に入ってくれてた助産師さんが私の頭の近くに赤ちゃんを連れてきてくれて「おめでとうございます〜!元気で大きい赤ちゃんですよ〜!」と見せてくれて、一瞬だけ手をつながせてくれた。その後処置につれていかれる赤ちゃん、おぎゃーと泣いてて元気そうだった。
その後の私の処置が…一段と気持ち悪く。「手術後まで眠りますか?」と聞かれて「いや、いいです」と一旦答えたものの、何されてるのかわからなくて気持ちわるくて我慢できずに上半身をモゾモゾさせてしまい「鎮静剤入れますね」と言われてしばらくして気を失った。助かった。
「お疲れ様でした!」と声をかけられて目覚める。「せーの!」でベッドに乗せ変えてもらったりして移動。そんな中でも手術担当のひとりであるらしい女の人が「うちも上の子が女の子でねー下の子が男の子なんですよー」とか赤ちゃん返りがきっと大変ね、みたいな話をしてくれたんだけど、鎮静剤のおかげかすごく眠くて返事するのが億劫だったしよく覚えてない。旦那は「お疲れ様ー!赤ちゃん抱っこしたよ、可愛かったよー!目をつぶってムニャムニャしてた」と言ってた。元の病室までガラガラ〜と移動。旦那が「先生が言ってたけど、やっぱり赤ちゃんけっこうへその緒が絡まってたらしいよ」と教えてくれる。どういう風に絡まってたか、気になるけど先生に聞くタイミングもなくてまだ聞けてない。
その後、うちの両親と娘ちゃんも来て、赤ちゃんと対面して写真を撮ったりして。でも私は寝たきりなのでひとりだけ赤ちゃんの顔が見えず(笑)携帯で撮った写真を見せてもらうという技を使う。その後、私の左側に赤ちゃんを連れてきてもらって添い寝をした状態で、家族4人で写真を撮った。
旦那に「赤ちゃん抱っこしてみてどう?」みたいなこと聞かれて「重たくてあったかい」と答えた。
その日はもうずっと眠くて、でも熟睡もできなくてずっとうとうと。ひっきりなしの検温と血圧測定、麻酔科の先生の回診、産婦人科の先生の回診、麻酔が切れていくにつれて戻る足の感覚とお腹の痛み。やることがなくてうとうとしながら自分の痛みと向き合ううちに、傷の痛みが波のようなバイオリズムでやってくることに気づき…これは子宮収縮の痛みの波だとわかる。午後から夜にかけて発熱もあった。自分にいっぱい管が入ってて、寝たきりで、本当に患者さんって感じ。点滴と、麻酔の管と、尿道カテーテル
午後も旦那と娘ちゃんが面会に来てくれたんだけど、旦那は娘ちゃん連れでタバコが吸えなくて徐々にイライラがつのっていた!なんて面倒くさいやつ。本当は名前会議をひらいて最終決定したかったけど、私は寝たきりでうとうとしてるし、娘ちゃんはベッドに登ろうとしたりとにかく落ち着かないし、旦那はタバコ吸いたくてイライラしつつ娘ちゃんの面倒見てジュース買いに行ったり、とにかく何もできずに終わった!しかも帰り際の娘ちゃんは、オムツが臭い状態のまま、最強の絶叫大号泣で鼻水をたらしながら「マ"マ"〜(/TДT)/」って言いながらパパに担がれて帰っていった。何もできなくてごめんよ…。
ベッドに横たわったまま、寝返りをうつのもままならない状態で、何度も回診もあったけど、夜に数回赤ちゃんを連れてきてもらい授乳にチャレンジしたり、熱が下がらない私にアイスノンをくれて気持ち良かったり、細切れながらもけっこうぐっすり眠れてすごく良かった!
翌朝火曜、朝ごはんはお粥ベースで久しぶりの食事。ご飯を出されたものの『私、起き上がっていいんだっけ?』という状態。そして頑張って上半身起こしてみたところ、手をついた状態から動けなくなり、ナースコールも押せず、にっちもさっちもいかなくなり…。しばらくして看護師さんが来てくれて、ベッドのジャッキを起こしてくれて、手を付かなくても座ってられる状態に。
でも久しぶりに起き上がって気持ち悪くなり、お粥を前にスプーンを握って考えこみつつ、50分くらいかけて3分の1くらいを食べた。
看護師さんには「ガスは出ましたか?」と聞かれ、なんのとこかピンとこなかったけど「出てません」と答える。その後ひとりでググったところ、帝王切開の術後は早いことオナラが出ないと腸がヤバイことになるらしいと知り、頑張って飲んで食べて身体を動かさねばならないと認識する。
旦那が早い時間に面会に来てくれて最終名前会議!私は最初は起き上がていたけれど、この状態だと辛くてロクに喋れないと気付いて途中で横たわった。息子くんを抱っこしたりしつつ、あーでもないこーでもないと3時間弱くらい悩んで名前決定!
私は、このほぼ寝たきり状態から今日中に起き上がったりできるのかなって不安だったけど、お昼前に出してもらった痛み止めの薬を飲んだら、お昼ご飯を食べてるうちにだんだん元気になってきた。お昼は完食!
旦那が市役所とか買い物に行ってる間、私は自分からベッドのそばにあったらベビーコットから赤ちゃんを持ち上げて抱っこしたりできるように!その後、看護師さんについてもらってベッドから立ち上がることにチャレンジして、無事に成功!そのとき感動しすぎて頭の中にハイジが現れて「立った!クララが立った!」の場面が再生された(笑)私、立てたんだー!!そして無事に尿道カテーテルが外れ、点滴も一旦終わり、麻酔の管だけになって少し身軽になった。自分でトイレに行けるって、なんて幸せなんだろう!って思った。
市役所から帰ってきた旦那は、イオンにも寄ったらしくていろいろお土産を買ってきてくれた。娘ちゃんにアンパンマンDVDと、私に本を2冊と、2人で食べる用のドーナツ!味気ない病院食が続いていた私にとってドーナツがとても美味しかった。本は…本当は赤ちゃんが生まれたからもうそんなに暇じゃないし、産後は目を休めなきゃいけないから本は読まないほうがいいんだけど(いまケータイいじってるけど(^_^;))、お土産買ってくれる気持ちが嬉しかったから余計なことは言わなかった。病院関連の書類もいろいろ出してくれて私はかなり助かった。
晴れて名前も決まって出生届を無事に提出し、任務完了した旦那。今回の急な帰省で振り回されて疲れつつ、また始まる一人暮らし生活に少しがっかりしつつ、髪も爪もヒゲも伸びつつも、晴れ晴れとした顔つきで帰っていった。私に、体調早く回復するといいね、ってことと、これから山場ばかりだけど登るしかないね頑張ってねってことを話した。
その後も帰り道中で何度かメールやりとりして、4人家族になったしお互いこれからも頑張ろうねー!って気分になれた。
赤ちゃんを預けてゆっくりできる夜は今回でおしまい!明日から本格的に始まる新生児との生活も、頑張るぞー!